税制改正大綱8 教育資金の一括贈与に係る贈与税の非課税措置
2013.03.06
6.教育資金の一括贈与に係る贈与税の非課税措置
贈与税に関する改正については、前回(ブログ:税制改正大綱7)で取り上げた税率構造の見直しよりも、今回の方が政策として注目を集めているのではないでしょうか。現在でも祖父母が、扶養親族である孫の教育費について、必要のたびに資金を贈与しても課税されることはありません。今回の改正案は「一括贈与」であることがポイントになります。内容は以下の通りです。
30歳未満の者の教育資金に充てるために、その直系尊属が金銭等を金融機関等に信託等をした場合には、受贈者1人につき1,500万円(学校等以外の者に支払われる金銭については500万円が限度)までに相当する部分の価額について、平成25年4月1日から平成27年12月31日まで贈与税が非課税となります。
※30歳に達した時点で残額があった場合には、贈与税が課税されます。
受贈者が死亡した場合の残額については、贈与税は非課税となります。
この改正には贈与の人数には制限がありませんので、3人の子どもや孫に贈与をする場合は、最大4,500万円まで非課税で贈与できることになります。暦年贈与や相続時精算課税と組み合わせれば、相続税の課税対象者にとっては、かなりの節税になります。
ただし贈与税は非課税かもしれませんが、金融機関に金銭を信託をする場合には信託手数料が必要となります。そのため各金融機関が、急ピッチでこの制度に合わせた商品の開発に取り組んでいます。この改正案はもともと信託協会の税制改正要望を発端としています。