NO8 持分なし医療法人への移行
2017.08.25
持分なし医療法人への移行について、税制面において新たな動きがあります。いよいよ認定医療法人の認定要件のパブリックコメントが出され、詳細が明らかになりつつあります。
では、目の前に迫っている事業承継や持分承継にあたって、相続税が軽減できるから持分なしへの移行を行うというのは早計です。この選択の際に考慮すべきは、不測の事態が生じた時のリスクをいかに軽減するかであり、リスクが最大化する場面を回避することです。
持分なしへ移行し、理事長を子へ禅譲した後すぐに子が亡くなったときにはどうなるのでしょうか。退職金対策も踏まえて生命保険に加入しているケースも多く、多額の保険金が法人に着金されるも、就任期間の短い子の死亡退職金として支給できる金額は大きくありません。莫大な純資産を抱えたまま医師不在となり、解散という憂き目になる可能性もあります。
長い尺度での有利不利を判断して選択をするよりも、考えられうる一番大きなリスクを避けるために「選択しない」という選択をまずは考えるべきだと思います。
もし持分承継にあたって払えるだけの相続税・贈与税が確保できているのであれば、持分なしへの移行を選択しないことができる、という考え方もあるということです。