税制改正大綱5 社会保険診療報酬の所得計算の特例制度
2013.02.22
4.社会保険診療報酬の所得計算の特例制度
現行制度は、年間の社会保険診療報酬が5,000万円以下の医療機関について、実際の経費にかかわらず、一定の計算に基づいて算出した概算の金額を社会保険診療の経費とすることを認めていましたが、自由診療報酬や雑収入も含めた総収入が7,000万円を超える対象者を除外されることになりました。
※平成26年分以後の所得税、平成25年4月1日以後開始事業年度に係る法人税より適用されます。
概算経費により所得を計算する方法は以下の通りです。
(1)社会保険診療報酬-概算経費=社会保険診療の所得
(2)自由診療報酬-自由診療報酬の経費=自由診療報酬の所得
(3)(1)+(2)=所得税や法人税の対象となる所得
もともとこの制度は小規模な医療機関の事務負担の軽減を目的としています。しかし、年間の社会保険診療報酬が5,000万円以下であっても、社会保険の対象とならない自由診療で多額の収入のある医療機関も特例の対象となっていました。この場合に生じてしまう「益税」を是正するのが、今回の改正になります。
税目は異なりますが、消費税にも似たような簡易課税制度というものがあります。こちらも小規模事業者の事務負担の軽減を目的としていますが、同じく「益税」が発生するため、見直しが図られようとしています。